東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐって(未刊行・未完成のブックレット)

これはなにか

東日本大震災とそれに続く東京電力福島第一原子力発電所事故から一ヶ月ほど過ぎた頃でしょうか。菊池はかもがわ出版からブックレットの執筆を依頼されました。その時点までの原発事故に関係する内容を自分の経験を踏まえて書く(むしろ経験を書くんだったかな)ということだったと思います。5月に第一稿ができはしたのですが、そのままでは出版する価値があるとも思えず、改稿を試みているうちに事態がどんどん進んでしまい、書き続ける意義を失ったと判断してやめました。

別の目的でこの原稿を確認したくなり、ハードディスク内を探していたところ、いくつかのバージョンが出てきました。むしろ今なら一種の記録として公開する価値があるかもしれないと思い、5月の第一稿バージョンと7月に取りやめにした時点でのバージョンを公開することにしました。書くべきことはまだたくさんあって、20ミリシーベルトの根拠を政府はどう語ってきたかを国会答弁から拾い集めた資料などもあるのですが、それらは手つかずのままです。2011年6月にはガイガーカウンターミーティングを開いたこともあり、測定についても書くつもりでした。ちなみに、ver.2のほうには一部のかたの興味を惹くかもしれない「メルトダウン問題」が当時の認識で書いてあります。「御用学者wiki」問題はこれよりだいぶあとかな。そのあたりについてもまとめられれば、それなりに価値あるものになったかもしれません。

放射線のリスクや現存被曝状況などについては明らかに舌足らずなので、あまり参考にはならないと思います。この後、自分でも学び、また何度も勉強会を開くなどして、「いちから聞きたい放射線のほんとう」(菊池・小峰・おかざき、筑摩書房、2014)をまとめるに至りました。放射線関連の解説はそちらを読んでください。

(2015/10/9 菊池誠)

アーカイブ

  1. ver.1 2011/5/16版
  2. ver.2 2011/7/30版